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執筆者の写真Makoto Urano

【根を張る人生、翼を持つ人生】~Booked vol.8『ライフ・シフト』開催~

本を読まずに参加できる読書会Booked、今回は『ライフ・シフト』を取り上げました。

この本はどんな状況を生きる人にも、きっと刺激を与える一冊ですね。

これからの自分の人生について、大きなタイムスケールで考え直すための良書です。

事実、僕はたいへん影響を受けた一冊です。











根を張る、翼を持つ

ある社会学者の言葉です。

  人間は、根を張りたくなる生き物だ   しかし時に人間は、翼を持ちたくなる

自らをどこかに定着し安定したい本能と、変化を求め自由を望む感情。

心の奥底では常に安定を求めながらも、日々の生活の中では自由が欲しくなる。

彼はこの二つを、人間がどうしても避けられないジレンマとして「心の根」「心の翼」と表現したのです。

奥深く、少し謎めいた言葉。根を張ること、翼を持つこと....若いころの僕の頭には、いつも刻まれていました。

幻の結婚スピーチ

決して派手な意味ではなく、人の歩まないような人生を送ってきました。根を張らずに生きていたのでしょう。 数年前に結婚した時、僕は心に根を張り始めました。まだまだ細くて小さいものの、今は確かな根だと誇れます。

結婚式のスピーチ原稿に社会学者の言葉を引用して、このように僕は書きました。

  根を張ったからこそ持てる、   そんな翼を持ちたい

実際の結婚式では、感激のあまり用意した文章を一切読まなかったので「幻のスピーチ」となりましたが・・・



ひとり我が道を行くだけの人生では、決して持つことのできない「翼」がある。それは、誰かとの出会いからしか得られぬ「機会」のこと。もちろんパートナーのことに限りません。ひとりではできないことが、人生にはあまりにも多いのです。


著者リンダ・グラッドンさんの人生

2016年に出版された『ライフ・シフト』は、当時からたいへん話題を呼びました。日本では政策にも影響を与え、重要な一冊となっています。

イギリス人の著者リンダ・グラッドンさんは

 1.教育を受け  2.職を得て働き  3.老後を送る

という「3ステージ」の人生が、これからの時代にほぼ成り立たないこと、しかし社会のしくみにも個人の人生観にも、3ステージの人生が暗黙のものとしてこびりついてしまっていることに厳しく警鐘を鳴らします。

彼女自身の人生は?というと、大学で心理学の博士号を取得し、まず大手の航空会社へ。すぐにキャリアアップしコンサルティング会社で活躍しました。 一方で、32歳と34歳で2人の子どもを授かりつつも38歳で離婚し、シングルマザーとして苦難の人生を送ります。

悩んだうえで大学での研究の道に戻り、第一線で輝くに至った、強くてしなやかな女性です。

昨年、彼女は63歳にして再婚したそうです。人生が100年と考えれば決して遅くない「2人目のパートナー」でしょうね。




変化に富んだ人生のために

長い人生には、誰もが何度もステージを変えて生きていくことになる。

望ましいのは、変化に富んだ人生、そのための変化に柔軟な姿勢や習慣です。

本の後半には、教訓めいた言葉が続き、印象深いフレーズはいくつも出てきます。

  ・曖昧さを厭わない   ・絶え間ない自問自答   ・思春期的な特徴を保ち続けること

きらりと光るのは、心理学者としての洞察に富んだ表現と、人間の本質をつかむ鋭い視点にあります。(ちなみに前半はカネや資産の話が多いです)

今の僕は、予期できなかった

僕は3年前に読んで影響を受け、今回また読書会で扱うことになり、心して読み直しました。

随所に、再発見がありました。

それでもなお、今でも引っかかるのが、

「計画を貫け」

というメッセージです。

僕自身、永田町の豪華なスペースで人前に立ち、大勢の皆さんに向かって喋ること自体、たった1年前は、その可能性すらゼロでした。昨日、前に並んだメンバーたち、一緒に企画・運営をした仲間とは、1年前にはまだ出会っていないのです。



前の会社でお世話になった先輩が、この日、ふらりと現れ、最前列に座っていました。元気そうな姿を見て嬉しくなったよ、また来るよ、と言って帰っていきました。 思えば7年間彼と一緒に働いたことも、かなり偶然が重なった結果だったのです。

人生は計画できない

はっきりと断言できます。

  「人との出会いは、    人生で最も計画できないこと」

そして人との出会いが、最も人生に変化を与える、ということも。

僕には、本書の「計画を貫くべし」が、生き方として間違っているのではないか?とさえ思えるのです。

この疑問は、これからの人生で少しずつはっきりとしてくるのでしょう。

何歳くらいにはっきりするか?.....それはもちろん読めません。

小さな息子の寝顔をみつめて...

Booked開催日の朝、2歳半の息子は僕が出かけるときに玄関先で大泣きしました。一緒に遊べると思い込んでいたのでしょう。出かけるのがいつにもまして辛かったです。

  根を張ったがゆえに、僕は翼を持った

息子が大人になったときに、自分の人生をそう語れたらいいなと妄想しています。

心地よい疲労感に包まれた夜、思いの丈を書き連ねた後は、すやすや眠る息子をずっと眺めていようと思います。 2019年08月31日の深夜.... Urano, the life shifter






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